Chanson triste [■CLASSIC<歌曲>]
Moonlight / 'Playingwithbrushes'
あなたの心の中に眠る月の光
夏の夜の月のやさしい光
私はあなたのその光の中に
わずらわしいこの世から逃れるために溺れたい。
* * * * * *
あの…
リサイタルの日から
間もなく10数年が経とうとしているわ~
そのリサイタルの
タイトルに選んだのが
『悲しき歌――Chanson triste――』なの~
デュパルク(Henri Duparc)作曲の
「悲しき歌 Chanson triste」は
たくさんの作品の中から
わずかに17曲残った歌曲のうちの
1曲だったわ~~
何故…「残った」のかは
後でご説明するとして…
Winter sunlight / Giles
Watson's poetry and prose
この「Chanson triste」は
フォーレの『Après un rêve』同様
(Après un rêve「夢のあとに」)
色っぽくて
洒脱で
アニュイな…
フランスのesprit ぷんぷんな
めっちゃ…素敵な曲なの~っ
It's been 7 hours and
15 days / dollen
ここでDuparcをご紹介しておくね!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アンリ・デュパルク (ウジェーヌ・マリー・アンリ・フ
ーケ・デュパルクEugène Marie Henri Fouques Duparc、1848
年1月21日パリ –1933年2月12日モン=ド=マルサン )は、
フランス後期ロマン派の作曲家。
セザール・フランクにピアノと作曲を師事する。 デ
ュパルクはフランクの最初の作曲の弟子の一人にあ
たる。(Neuras thenia)であった。その後は家族
1885年、37歳の時に突然作曲ができなくなる。診断
は神経衰弱との時間や、絵画制作に没頭
するが、20世紀に入ると次第に視力が失
われていく。
今日デュパルクといえば、17曲の歌曲が
著名である。これらの歌曲は、ボードレ
ー ル、ゴーティエ 、ゲーテなどの詩に
作曲されたもので、いずれも繊細な叙情
表現やリヒャルト・ヴァーグナー の影
響を受けた劇的表現に優れ歌曲の最高傑
作に数える者も少なくない。
Moonlight / gill.holgate
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・音大では実技試験ってあるんだけど
声楽科はオペラアリアと歌曲を
別々に受験するの~
で…あたしは卒業時に
オペラアリアに『椿姫』の
「あぁ…そは彼の人か~花から花へ」を
歌曲にこの「Chanson triste」を
歌ったので思い入れも強いの…
Can't sleep until my
broken heart get fixed.2 /
S o n n e n k i n d .
それから…詩も
これまた
く~らくらしてきちゃうような
官能的な詩なの~~
Cloudical Ballad / k.monsoor
「悲しき歌」 Chanson triste
詩: J.ラオール
あなたの心の中に眠る月の光
夏の夜の月のやさしい光
私はあなたのその光の中に
わずらわしいこの世から逃れるために溺れたい。
わが愛よ…あなたがその素敵な手で
私の悲しい心の思いを静かに慰めてくれるとき
私は過ぎ去った苦しみのすべてを忘れてしまうことだろう。
あぁあなたは時々そのひざに
私の病みやつれた頭をのせて
バラードを歌ってくれることだろう
そのバラードは私たちのことをうたう歌…
そして悲しみにあふれるあなたの目の中に
その目の中に私はあるいは私を癒してくれる
やさしい口づけを飲みほそう。
Dans ton cœur dort un clair de lune, Un doux clair de lune d'été,
Et pour fuir la vie importune Je me noierai dans ta clarté
J'oublierai les douleurs passées, Mon amour, quand tu berceras
Mon triste cœur et mes pensées Dans le calme aimant de tes bras
Tu prendras ma tête malade Oh! quelquefois sur tes genoux,
Et lui diras une ballade Qui semblera parler de nous
Et dans tes yeux pleins de tristesse Dans tes yeux alors je boirai
Tant de baisers et de tendresses Que peut-être je guérirai
さて…冒頭の
『残った』ことについてなんだけれども
……
『大部分の作品を 自ら破棄したため
歌曲を中心にごく少数の作品しか
残されていないが
「旅へのいざない」 などの
残された作品のいくつかは
フランス歌曲を代表する歌曲と
みなされている。』
ってあるわ~
歌曲のほか少数のピアノ曲、管弦楽曲を
作曲した(全部で約500曲といわれる)
が、作品の大半は自身の手で破棄し、残
された作品は40に 満たない。1922年1月
19日付けで弟子で親友でもあったジャン
・クラに宛てた手紙のなかで、 未完に終
わったオペラ『ルサルカ』の破棄につい
て次のように述べている。
(すばらしい夢のうちに25年間生きてきて、
表現するということがなにも
かも -- 君にだけ言うが --
嫌になってしまったのだ。
これを破棄するもう一つの理由は
(破棄することは悔いていない)、
20年前に神が私の精神を完全に
変えてしまわれ、一瞬にして私の過去の
人生を全て捨て去ってしまわれたからだ。
従って、『ルサルカ』は私の新しい人生とは
全く関係がなく、もはや存在している
必要がないのだ。) ”
あああぁぁ…
デュパルク自身の手によって
破棄されてしまったいくつもの作品…
どんだけ
素晴らしかったのかしら……
それを思うと
世に出ることの出来た『残った』曲たちを
大切に歌っていきたいって思うあたしなのでした…。
moonlight / Cornelia Kopp
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Jonas Kaufmann - Chanson triste (Henri Duparc)
Duparc, Chanson triste (1868) - Jessye Norman