はじめての試練 Ⅳ<助教授からのセクハラ> [■音高 / 音大]
wilight path / Christian Collins
ふぅ…久しぶりに降りたこの駅…
駅から10分ほどの私立高校のすぐ近くの
樹々がうっそうとした中の一軒家
ここが度助部先生のお宅…
* * * * * *
今考えると…
ぱぱに送ってもらって
なおかつ同席してもらえば良かった…
変わらないレッスン室…
玄関を入ってすぐ右側のこの部屋に
グランドピアノが置かれていて…。
Grand Piano in 300 lobby / vmulky
受験時は
眼鏡をかけたお嬢さんが
奥のほうにいらして
地味な感じの奥様が
お茶を出してくださるのに
この日はどなたも見えなくて…
先生ご自身が
お茶を出してくださったの
「先生…
今日は奥様は
いらっしゃらないんですか!?」って
お聞きすると
…
「今日はだぁれもいないんだよ」
って!!!
(この時点でちょっと嫌な予感はしたんだけど…)
Stained glass on piano /
Martin Lopatka
お茶を頂きながらAYAKO先生のこと
(お二人は同じ助教授でらしたので)やら…
オペラの事なんか…
いろいろなお話をして…
しばしの時を過ごしたあと…
いよいよレッスンは始まったの~
何の曲を持っていったのかは
忘れちゃったけど
受験当時と同様に発声からよ~~
The drive from Arbury Hall / ell brown
発声は先生によって違って
たいていの先生は
ピアノを弾きながら
ご自身が発声してくださるの
ただ…この日の度助部先生は
やたらテンションが高くて…
最初のキーだけピアノで弾いて
その後をあたしの隣にぴたりとついて
身振り手振りだったわ
Grand Piano 2 / Marco Cabazal
度助部先生の発声はちょっと難しくて
「ドレミファソファミレド」
「ドレミファソ ラ ソファミレド」
「ドレミファソラ シ ラソファミレド」
ってなスケールで
1音ずつ足していくの~
で…次が…アルペジオで
「ドミソミド」
「ドミソ ド ソミド」
「ドミソド ミ ドソミド」
同じく1音ずつ足していく
Grand Piano in the Chateau
main hall (& a ghost) / ju5ti
ここに 罠 があったの
1音ずつ足していくと
「次はミまで…次はソまで…」
って考えちゃう…
先生はお手本を歌いながら
「腹筋」とか言いながら
お腹の辺を触ったり
ぽんと叩いたりする
嫌だな…って思いながら
頭の中では…
「次はドまで……」
その瞬間…
先生の手はついに下腹部に…
あたしは必死に発声をしながら
後ずさりしたの
those eyes... they're gonna
kill you slowly... / Lucas Lucas
先生はもう…
手を離さないどころか
指を…
指を……
/ dreamerofmb
あたしは…
ばっと身体を翻して
荷物をさぁ~っと持って
玄関から逃げてきたの
fog 01 / CapturedSomewhereInTime
泣きながら…
走って逃げた
駅までの10分をずっと泣き続けた
――― ひどいっ ―――
twofaced / porschelinn
帰宅しても…度助部に心酔してるぱぱには
言えなくて…
天国でこの記事を読んでるぱぱは
きっと…
「な…なぁんだとぉ!!!」って激怒してるわね!?
(うちのぱぱは暴れん坊♪ )
Border of light / Oscar W. Rasson
痴漢になんてしょっちゅうあっていたわ
だけど…これは違うの~~
力を持った者が
力の無い者に有無を言わせず
従わせようとする姑息なやり方なのよ
Scared Face / bastardang
付属高校入学時には
度助部に見棄てられたような気がしたけど
こんなサイテー野郎が
問題を起こしていてくれたために……
(多分…ほかの学生へのセクハラもね!?)
……
そのためにAYAKO先生に師事できて
本当に良かったって思えたあたしなのでした。
Regents park fog / flashcurd
■ ■ ■
Debussy - Rêverie